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第67回富山眼科集談会 一般講演

  • 開催日:2012年11月23日
  • 開催場所:富山国際会議場
演題  (公財)富山県アイバンクの20年の活動報告
演者  入江真理(富山県アイバンク)
 原 由香利(富山県アイバンク)
 林 篤志(富山大学医学部眼科)
  1. 発表スライド

発表スライド


富山県アイバンクは平成4年に設立し、平成21年には公益財団法人として組織変更を行い、角膜疾患による視力障害者の多くの患者さまが移植手術を受けて視力を回復することができるよう事業活動を行ってきた。今回、20年の活動をまとめたので報告する。
【対象および方法】
1992年から2011年までの、20年間の当アイバンクにおける献眼登録者数、献眼者、摘出眼球、斡旋眼球、移植者を眼球摘出記録並びに移植記録をもとに調査した。

【結果】
[年度別献眼登録者]設立以前の登録者も含め2011年12月末の登録者数累計は、19,457名となった。設立当初から2001年までの10年間の新規年間登録者数の平均は798人だったが、2002年から2011年までの10年間の新規登録者数の平均は166人だった。1997年に臓器移植法が施行され、臓器提供意思表示カードの普及により、アイバンクの登録が減少したのではないかと推測される。
[年度別献眼者数]年間の献眼者数は平均13人だった。総献眼者数は2011年12月末現在で、260人となった。

[献眼者の内訳]献眼者260人の内、アイバンク登録者は162人 意思表示カードによる提供は18人、家族の忖度による提供は80人だった。 アイバンク登録者162人のうち、臓器提供意思表示カードも併せて所持していた方は8人だった。
[献眼者の男女別と年齢別]男性が141人、女性が119名だった。年齢別では、最年少は3ヶ月から最高年齢は107歳で平均74.8歳だった。

[献眼者の死因]悪性腫瘍が最も多く82名、ついで脳血管障害38名、心不全が33名とその他多くの死因が含まれていた。
[眼球摘出場所]病院や施設での摘出が209件、自宅など病院以外の場所での摘出は51件だった。自宅など病院以外での摘出場所での変わったところでは、「警察署の車庫」や「葬儀場において棺桶に入っている状態で」というのもあった。摘出には延べ300人以上の眼科の先生方にご協力いただいた。一番摘出回数が多かったのは、富山大学附属病院の柳沢秀一郎先生の44回だった。

[摘出眼球の内訳]摘出眼球477眼のうち、移植に使用したものは412眼だった。 保存眼数は9眼、移植に使用できなかった眼数は56眼だった。 移植に使用できなかった56眼のうち、感染症によるものは26眼、内皮細胞密度が2000セル/㎟以下かつ上皮混濁によるものが30眼だった。
[献眼者の内皮細胞密度]提供眼球数472眼のうち、内皮細胞密度測定が可能であった333眼を対象とした。対象となった献眼者の年齢は15歳から107歳、平均74.8歳だった。内皮細胞数は808セル/㎟から3,846セル/㎟、平均2,736セル/㎟でした。赤色は新鮮眼で移植を行った角膜、グレー色は保存眼で移植を行った角膜、薄茶色は移植に使用できなかった角膜、×印は保存されている角膜。

[移植者の男女別・年齢別]男性234人、女性178人の合計412人だった。年齢は3ヶ月から95歳までの範囲で、平均年齢64.0歳だった。
[移植者の疾患別]水疱性角膜症が最も多く123人だった。ついで角膜混濁118人、円錐角膜が35人だった。

[角膜斡旋施設]当アイバンク医学基準に定める「5.角膜・強膜組織の移植に用いられる際の分配法」を準拠して斡旋を行っている。県内においては、富山大学附属病院が最も多く207眼だった。大学以外の県内斡旋施設は42眼、県外医療機関への斡旋は163眼だった。
[県外斡旋の内訳]全国の多くの移植医療機関において角膜移植が行われ、患者様が視力を回復している。提供頂いた角膜は有効に移植に使用されている。

【まとめ】
設立から今日まで、多くの皆様に支えられながら事業を行ってきた。この20年間で260人の方からご献眼頂き、412人の方が移植手術を受けることができた。移植を受けられた患者様の喜びの声も、ご提供頂いたご遺族の喜びの声もたくさんいただいている。「本人が提供を希望していたから」「最後の親孝行ができた」「娘の体の一部がどこかで生きていてくれる」と提供に至った経緯は様々ですが、ご遺族が提供してよかったと思っていただけるよう、エンゼルメイクを取り入れたり、ご葬儀に参列するなどの遺族ケアにも力を入れている。その結果、同じご家族から2人目、3人目のご提供も頂いている。 今後も一人でも多くの方にアイバンク事業をご理解頂き、角膜移植を待っていらっしゃる患者様が移植を受けることが出来るようドナーとレシピエントの橋渡しとして、事業を推進していきたい。

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