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第66回富山眼科集談会 ミニ発表

  • 開催日:2012年5月27日
  • 開催場所:富山国際会議場
  • 演題  富山県アイバンク登録者の登録継続意識調査の報告
    演者  原 由香利(富山県アイバンク)
     入江真理(富山県アイバンク)
     大黒幸雄(富山県アイバンク)
  1. 発表スライド
第66回富山眼科集談会プログラムの写真

発表スライド


【目的】
財団法人日本アイバンク協会の委託を請けて、献眼登録フォローアップ事業として行った。
【対象及び方法】
2011年8月10日時点の登録者16,189名の中、任意に抽出した3,900名が対象。 自記式質問紙による郵送法にて実施。


【結果】
[回答数の内訳]発送総数3,900名の内、回答15%、宛先不明で返送されてきたものが9%、無回答が76%たった。回答の内、有効回答数は99.5%だった。
[献眼登録意思の継続の有無]有効回答577名の内、登録の「継続あり」回答は33%、「継続なし」回答は67%だった。

[献眼登録を「継続なし」とした理由の内訳] 登録の「継続なし」回答者388名の内、意思の変化5%、以前にご逝去38%、県外や国外に転出したため富山県での登録を削除1%、家族の反対3%、病気・症状など身体的な理由9%、その他3%、 理由未記入41%だった。
[「継続なし」の身体的理由の内訳]身体的な理由を挙げた34名の回答、39例を示しました。C型肝炎8%、高齢38%、角膜以外の眼の疾患41%、全身の疾患13%だった。
挙げられた例の内、実際に適応禁忌となるのは、3例の記載があったC型肝炎のみである。

【結論】
献眼登録者の登録継続意識調査を行い、その回答者数の26%が既に逝去していた。
献眼登録の「継続なし」回答者中、身体的な理由の内92%が誤った認識での登録取消だった。
献眼登録者の提供意思を生かすためには、登録者本人はもちろん、その家族への継続的な正しい知識の啓発が必要であると思われた。また、アイバンクが登録制度を継続していくには、登録時の手続き方法ついても改善の必要があると思われた。

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発表スライド







はじめに
1963年に「角膜の移植に関する法律」が施行され、日本において心臓死者からの提供による角膜移植が始まった。 同年より全国各地にアイバンクが設立され、献眼登録活動が開始された。 富山県においても1991年にバンクが設立し、活動を開始した。
・十分な提供者を確保する 
・安全な角膜を提供する 
・ 公平、公正に斡旋する 
のアイバンクの三原則を基本理念として活動を行ってきた。 十分な提供者を確保するために、全国のアイバンクが長年かけて献眼登録活動を行ってきた。 しかし、その登録の意思が十分に生かされていない現況の中、ドナー数を増やすには、病院におけるOP提示が必要であるということがわかってきた。 当県においても、ドナー増加のためには、心停止後の「献眼に関する意思の有無を伺うシステム」を導入する必要があると考え、活動の拠点である富山大学附属病院においてこのシステムの導入を行ったので報告する。

富山大学附属病院は、富山市内から少し離れた富山大学杉谷キャンパス内にあり、1979年富山医科薬科大学附属病院として診療開始した。 2005年、大学統合により、富山大学附属病院に名称を変更した。
病床数612床、特定機能病院として先進医療AならびにBを提供する病院で、 また、全国初の6歳未満の小児の脳死臓器提供病院でもある。
富山県アイバンクは医学部棟の4階に事務局を構え、献眼の一連の作業をこの部屋で行っている。 また、大学病院との連携も取りやすい状態にある。

導入方法と開始時期について  
平成24年1月、臓器移植委員会において、システム導入を提案され、また病院運営会議においても導入について協議され、決議された。 それを受けて、アイバンクのコーディネーターが各医局をまわり、システム導入についての説明会を実施した。また、看護師長への説明会も合わせて実施した。

具体的な実施方法について
入院患者さんが死亡された場合、HBs抗原・HCV抗体が陰性かつ白血病・敗血症ではない患者様ご遺族に対して、主治医が死亡説明をされる際に、「この病院ではすべての患者様の献眼の意思を確認している。アイバンクの方に来てもらってお話を聞くことができますがいかがですか?とご遺族の意思を確認してもらい、OKされた場合にアイバンクに連絡をするという方法で実施した。

結果
平成4年度から平成23年度までの平均年度献眼者数は1名だったが、平成24年度は5名、平成25年度は4名、平成26年度も4名、平均年度献眼者数4.3名となり、システム導入により献眼者が増加したが、平成27年度は献眼者数0名となってしまった。

年度別ドナー情報数について
平成24年は情報数が8件あり、そのうち献眼に至ったのが5件だった。平成25年は情報数は5件、献眼は4件。平成26年は平成25年と同数だったが、平成27年は情報数、献眼ともに0件だった。

意思確認別ドナー情報数について
平成24年は意思確認5件、家族の申し出3件 平成25年は意思確認4件、家族の申し出1件 平成26年はすべてが意思確認による情報数だった。 残念ながら平成27年は情報数は0件だった。

考察
本システム導入により献眼数が増加した。しかし昨年度は情報数は0件だった。 大学病院においては、各医局の先生方の移動が多く、また、新しい医師も入局し、本システムを知らない先生方もおり、継続的に医局会にて説明を実施する必要があると思われた。


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