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コーディネーター日記 その5
K市民病院、管理当直のK看護師より連絡が入った。意思表示カードを持った患者さんのご家族から提供についての話を聞きたいとのこと。早速、病院へ向かった。 69歳の女性、くも膜下出血により2回の手術を受け、術後順調に回復していたものの、再度出血したとのこと。意識レベルは、JCS300(一般的脳死状態)で、主治医からご家族へ厳しい病状説明がなされていた。 ICU(集中治療室)には、ご主人とお二人に娘さんが付き添っておられた。早速、面会し、話を始める。娘さんの方から、「以前に意思表示カードに臓器提供の意思をお母さんと一緒に書き込んだ。でも、カードが見つからない」そして、「助からないのであれば、お母さんの意思を尊重させてあげたい。」とのことであった。 「カードの有無に関わらず、献眼は可能であること。お母様の意思を尊重させて頂き、できるだけのことをさせていただきたい」と説明した。 ゆっくりとお話を進めていく中で、ご主人の友人が半年ほど前に献眼され、「摘出しても外見はまったく変わらない。普通に寝ているような表情だった」と話しておられ、献眼に対して抵抗感がまったくないことがわかった。また、普段から綺麗にしていらしたお母様なので手術のために、剃った頭を他人にみられるのはとってもいやがるだろうから、カツラを用意しよう」と娘さんがお話されていた。 翌日のお昼前、病院から連絡があり、摘出に向かった。 摘出後に県移植コーディネーターに協力を仰ぎ、お二人の娘さんと一緒に、エンゼルメイク(死化粧)を施した。 まずはシャンプーをし、髪の毛を洗う。そしてカツラをつけた。クレンジングでお顔の汚れを落として、ホットタオルで暖め、マッサージする。(この段階でお顔はとても穏やかな表情にかわってきた。)そして、肌の乾燥を防ぐために化粧水、クリームでお顔を整えた。 二人の娘さんと、普段使っていらした化粧品の中から色を選び、ファンデーション、アイシャドー、アイライン、眉、マスカラ、口紅、ひとつひとつ「お母さんらしく」ということ確認しながら、綺麗にしていく。娘さんが透明なマニュキュアを丁寧に一本一本の指に思いを込めて塗って行く。最後には、一番好きだったお着物を着せてお見送りとなった。 翌日、ご自宅を訪問して、お顔を見せていただいた。とてもつややかな顔色で、穏やかな表情でねむっておられた。
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